勤務税理士の思案12。事業主にとって「仕事は自分の人生そのもの」。廃業は有り得ない。

先日実家に帰った時の事ですが、遂に父親が事業を廃止するようです。

勿論、僕が事業廃止に伴う諸手続きをする事はありません。

もう80歳近い年齢であり、昨年は入退院を繰り返し、ようやくか!

と思ったところです。

 

さてサラリーマンであれば、80歳近くて仕事をするとはまずありません。

しかし、個人事業主では珍しくない事ですよね?

現に、70歳以上で現役の税理士さんはかなりの数です。

個人事業主とサラリーマン。

仕事に対する概念は、何がそんなに違うのでしょうか?

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なぜ高齢でも仕事を継続するのだろう

子供の時から近所には、

花屋、八百屋、魚屋、スーパー、パン屋、駄菓子屋、酒屋、和菓子屋、自転車屋、など、

個人事業主が満載でした。

商店が多い地域に住んでいる場合、そういった子供時代は珍しくありません。

 

現役のお店、世代交代をしたお店、廃業したお店と様々。

多くのお店に共通していた事は、店主はかなりの年齢になっても、

営業していた、若しくは営業している事です。

なので廃業した理由が、病気になった事や、亡くなられた理由の方も。

 

不況だ不況だと言いながら、なぜ高齢になっても、仕事を続けるのだろう?

仕入れにもお金がかかるし。

高校の時は、よく友人とそんな話をしていました。

 

以前は事業を廃業してしまった場合、

・収入がなくなってしまう、生活の糧がない

・仕事以外に他にすることがない、暇になる

・また個人経営の場合は退職という区切がない

などと考えていました。

 

僕はサラリーマンなのでわかりません。

しかし、身近な父親をみていると、そういった理由ばかりではないようです。

 

Continuation

Continuation

 

仕事は人生そのもの

友人でフリーランスの職業の人が何人かいます。

(税理士ではないです。)

彼らは自分が好きな事を仕事にしました。

フリーランスなんですが、自宅でもよく仕事しているようです。

 

帰宅しても、また休日であっても、構想を練ったり、様々な思いを巡らせたり。

自宅でバリバリ仕事をする訳ではないけれど、常にアイデアを浮かべているようです。

そしてそれが楽しくてたまらないようです。

 

日常においても突然いいアイデアがひらめいたり、

仕事中は煮え切らず、自宅で資料を広げてみたり、

「また仕事してる!」

と言われても、本人はそれが面白くて仕方ないんですね。

 

彼らは、「自分にとって仕事は人生そのものだ」と言います。

 

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個人事業をする場合、自分で自ら開業したり、親の後を引き継いだり、

その承継が自分が望んだものか、それとも他人が意図したものか。

過程は様々だと思いますが、そのいずれであっても、

彼らにとって、仕事は人生そのものなんだと思います。

 

仕事そのものが生活の1部となり、日常に溶け込んでいても苦痛ではなく、

楽しいと感じる事ができるのかもしれません。

 

人生そのもの、そして自分にとって日常である以上、廃業する理由などないのかもしれません。

人生である仕事を廃業するという事は、日常の一部が切り落とされることなのでしょう。

 

そのように感じるようになって以来、

「年だから早く仕事は辞めた方がいい。」

と父に対して安易に思わなくなりました。

事業主と給与所得者は熱量が違う

「仕事は自分の人生そのもの」

そう聞いてから、事業主とサラリーマンの絶対的な違いがわかった気がします。

 

もう10年程前ですが、25歳,26歳の時、フリーで働いている人と食事をしたことがあります。

FPやコンサル、職人さん、士業など様々。

 

ブラック企業が問題になり始めていた当時、こんな話題がありました。

「会社から呼び出しがあった場合、休日でも出勤するか。」

 

当然僕の答えは「NO」でしたが、かなりのヒンシュクでした。

彼らの正解は、

「給与が支給されている以上、業務には真摯に向き合うべき。」

 

今ならはっきりとわかりますが、事業主と給与所得者では、

埋める事ができない、明確な違いがあります。

 

彼らにとって仕事は人生そのものであり、生活の一部である以上、

仕事と生活は切り離す事はできないようでした。

 

しかし社員にとって事業主の人生は、社員の人生ではありません。

 

事業主と社員の間では、仕事に対する絶対的な温度差があり、

従事する社員に対して、事業主のそれを望んでも、わかるはずがありません。

 

よくある例は、積極的な休暇取得や定時帰宅です。

休暇取得や定時という概念がない事業主の場合、

仕事を休む、早く帰るという理由がわからない人もいます。

 

社員に対して同じ熱量を要求すると、しばしば問題が起こりがちです。

10年経った現在では、状況は異なるのかと思いますが。

まとめ

仕事をやめる事にした親は、心なしか少し落ち込んでいるように感じます。

生活の1部が切り落とされると同様ですからね。

仕事は人生そのものという考えが、良いかどうかは人それぞれだと思います。

しかし、ただそれだけの

人生にはしたくないと感じます。

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