自営業の家に生まれた僕が親の事業を継がなかった理由

今日は午前中に花蓮へ移動。

市中心部に到着すると、美味しそうな湯気がもくもく上がっています。

台湾に来るといつも感じることが、家族経営のお店が多い事。

店内に入ると、家族でお手伝いされている方も、

かなりの割合で目に入ります。

そのまま親の後を継ぐ方も多いようで。

 

ええ、僕の実家も個人事業の畳屋ですよ。

こんな貧弱でも、一応は職人の息子ですよ。

なんで後を継がなかったのかって?

いやいや、そんなの言うまでもありません。

 

だって自営業って、全然安定がないじゃない。

 

子は親の姿を見ている

僕は実家が仕事場であり自宅でした。

畳屋さんって、そういった方が多いと思います。

だから嫌でも親の姿が毎日目に入ります。

 

うるさいですよね。嫌ですよね。

だって、毎日家にいるんですもん。

色気付く年頃の頃って、本当に嫌でした。

しかし、それ以上に疎ましく感じた事は、

親の仕事の業況を把握できてしまう事でした。

 

子供だってそんなに無知なわけではありません。

小学校3年生くらいにもなれば、

「今は仕事が暇な時期なんだ。」

「こんなに休んでいて生活できるの?」

なーんてこ、子供ながらに思ったものです。

 

バブル崩壊後は、本当に仕事をしていない時があり、

親のスケジュール帳を見ては、ため息をつきました。

仕事が空っぽでびっくりした事も。

(我が家は電話の横に仕事の依頼帳を置いてたんです。)

 

中学にもなると、だんだんと生活をしていくためには、

自分の想像以上にお金がかかる事に気づき始めます。

 

当時から、実家を継ぐ事はこの先大変な事だと感じていました。

業種が畳屋ですからね。

オール畳の自宅は、今時ないですし。

 

高校生になり、どうやら多くの人はサラリーマンになる事が発覚。

そして個人事業では、金銭的にも公的扶助的にも、

大変だろうと悟り、一般企業への就職をしようと思いました。

 実家を継がなかった理由は3つ

生まれた時から実家が自営業だと、それが当然ですので、

サラリーマンという概念が自分にはありませんでした。

僕は仕事に行く=出勤するという事自体、知りませんでした。

 

だって、親は毎日家で仕事していますからね。

出勤なんてものはありません。

家にいるんで、仕事をしているかどうかは一目瞭然。

仕事していなければ、仕事がない。

それって、収入がないじゃないか!

 

大学受験の時は、授業料を払えるのかどうか、

内心はハラハラしていました。

高校生や大学生になると、目に見て仕事が減っており、

何だか家計の怖さ、大学へ行く後ろめたさが襲ってきました。

親も年齢を重ねていくと、20代、30代と比べて、

仕事が大変になっていくようで。

 

親の姿を年がら年中見ている家族も不安になります。

飲食店ならまだ知れず、業種が畳屋です。

畳を知らない人だっているのに、一体誰が購入するんでしょう?

 

家を新築するにしても、純和風の建物を立てる方はそうそういません。

となると、もう成り立たない業種なのでは?

子供ながらに、当時は考えたものです。

 

・仕事の受注状況が家族に把握される

・自分だけでなく家族にも不安を与えてしまう

・業種自体が時代遅れである

 

だから僕は、実家を継ぎませんでした。

時代に即した柔軟性の素晴らしさ

「畳は日本の大切な文化であり、その良さが見直されてる」

とは言われますが、だからといって、

畳職人の収入がグーんとアップする訳ではありません。

 

ええ、わかりますよ。

日本の文化を維持する重要性も。

自分の親が、日本文化に関わる職人だった素晴らしさも。

 

しかし、畳の需要が減り続ける一方である以上、

畳屋をこのまま引き継いでも仕方ありません。

この先、おそらく需要が増す事は考えられませんし。

 

と、僕は勝手に諦めていました。

でもそれは今まで通り何も工夫をしない場合であって、

やり方はいろいろあったんですよね。

 

静岡の畳屋さんでも、若い経営者の方がいます。

・畳の素材とお洒落な縁を利用したバック

・和風の縁を利用したスマホケース

・畳素材の文具やお財布

それらをネットで発信したり、アートイベントで発信したり。

今の時代に合った方法は、いくらでもあったんです。

 

もともと畳の縁ってアクセントになるようなお洒落だから、

グッツを製作するにはぴったりなんですよね。

 

・畳の家はあまりないから

・毎年畳を変えるなんて、今時しないから

・畳よりフローリングの方がコスパいいから

 

確かに時代は変わっていくものですが、

時代に即した柔軟な考え方をもつ素晴らしさって、

ゆくゆくは、畳の文化を維持していくことに繋がります。

 

伝統を維持しつつ、柔軟に変化する事って、

こういう事をいうんだと改めて感じさせられました。

まとめ

最近は、事務作業の徹底的な効率化が本当に正しいのか?

右へならえになっていないのか?

自分に問いかけることがあります。

 

税理士の伝統を維持しつつ、柔軟に変化する方法って、

きっとあるのだと思います。

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