僕が抱く税理士の職業倫理

ここ最近、開業したばかり方からの質問に、

確定申告で提出するもの(税務署渡すもの)は何ですか?

といったものがあります。

 

税理士事務所へ転職した当初から、初めて確定申告をされる方からは、

しばしばよくある質問でした。

 

ええ、税理士であれば、その返答に時間を要する事はありません。

簡単な質問だと思います。

ただし、その疑問点については、僕も大いに理解ができます。

 

僕も新人の時に感じていましたし、

改めて当時、自分も同じような疑問を感じていた事を思い出しました。

 

「元帳や請求書や領収書、経費の明細、入出金記録なんざいらねっすよ。」

っと言いつつ、その代償として、真面目な記帳が求められている事、

誰もが適正な帳簿を作成している事が前提である事を、口にしている自分がいます。

 

そんな自分とは裏腹に、時々杓子定規のように感じる事があります。

 

杓子定規にキレられる

「税務署へは、そのペラペラのA4の申告書2枚だけでいいっすよ。」

会社員の時にそんな事を言って、お客さんが驚いていた事が度々ありました。

「そんなんで、一体何がわかるんだろ?」

 

開業したばかりの方からは、よくそんな風に思われるようです。

僕自身も同じように感じたことであり、それが普通の事なのでしょう。

 

しかしある1つのよからぬ事が思い浮かびます。

「じゃあ、一生懸命記帳しなくても、いいんじゃね?」

「ちょっと誤魔化してもバレなくね?」

 

人間緊張感が緩むと、即座に楽な方向へ考える方もいます。(僕のように)

確かに、真面目に行ったところで本人に特はありません。

 

いや、世の中立派な企業だって嘘ついているし。。。

敢えて誤魔化す人がいる事は事実でしょう。

真面目に行う人は、バカをみるのかもしれません。

 

立場上、僕は各個人1人1人が真面目に、そして適正に帳簿作成を行うよう伝えます。

個人の方については、かなり堅いラインの判断をして、適正な記帳の大切さを伝えているつもりです。

 

しかしいつも、いや以前から感じていました。

ああやだな、頭でっかちな事言ってるかな?と。

 

常識的で一般的に正解とされる事を発されると、

人間てイラッときますよね。

 

20代中ごろの出来事ですが、間違ってはいない正解を告げたところ、

「杓子定規じゃ俺たち生きていけねんだよ!」

と、テーブルやイスを蹴るわ投げるわされた事がありました。

 

実は結構トラウマであり、ああ、この仕事辞めようと、最初に思った時でした。

僕が感じる職業倫理

とはいうものの、真面目にコツコツ商売をされている方を見るたびに、

自分ももう少し頑張ってみようと励まされてきました。

 

10年税理士業界にいて気づいたことですが、年配の事業者の方の中には、

利益を出し、納税できる事に感謝している方が結構います。

 

感謝というと言い過ぎですが、商売を行う事で、

少なからず社会に貢献できたという喜びだったのかもしれません。

不思議な発想に思えますが、実は僕の両親も、毎年納税を楽しみにしていました。

 

僕が勤務していた2か所の事務所では、まだまだ全て手書きの方もいました。

特徴的だったのは、手書きの方ほど事細かに経費の明細を作成しています。

また、摘要欄もかなり細かく、帳簿の精度も非常に高い。

 

そういう人と接する度に、適正な申告納税が意味するものをよく考えていました。

(僕はそれは世の中平等ではないけれど、一定の公平性を保つためだと捉えています。)

 

「どうせわかりゃしないから誤魔化す。」

といった発想は、そんな真面目に生きている人に対する冒とくです。

そしてそれらを正したり、教授することができる立場にあるにもかかわらず、

僕がそれを躊躇うことは、彼らに対する裏切りなのでしょう。

 

節税は悪いことではなく、制度上許されているものであれば、

積極的に活用すべきです。

 

しかし、過度な節税や誤魔化すといった発想は、

職業として税理士を行う者が、積極的に正していくといった当然の事を、

今更ながら感じています。

まとめ

時々職業倫理について、ふと感じることがあります。

今日はやや真面目に書いてみましたが、会計事務所職員の立場で、

顧問先からテーブルひっくり返され投げられたら、迷わずボスに相談しましょう。

 

今日の言葉

久しぶり: long time no see

久しぶり:好久不见! ピンインは hǎojiǔ bùjiàn!

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