安易な法人設立はお薦めしない。身軽でいることもメリットの1つ。

開業して以降、顧問先や単発の相談、確定申告等のやり取りの中、

本業事業の法人成りのメリット等の質問を受けることがあります。

 

一般論や一概には言えない論があり、

また夫婦2人法人や社員がいる法人など、その形態は様々。

 

所得税が高率になれば、法人設立の方が社会保険を含めた税金面では、

個人よりも有利に働く事があるのかもしれません。

 

ただ、僕自身は安易な法人設立は薦めません。

株式や出資の問題や、気楽に廃業できない問題があるからです。

 

株式や出資はどうするんだろう

法人の設立デメリットというと、均等割の支払いや社保加入、また事務負担が増える等様々。

 

しかし、それらはハッキリ目に見える事象であり、

デメリットというより、単なる面倒な諸問題でしかありません。

 

個人的にデメリットだと感じることは、将来の株式や出資の問題です。

そもそも赤字にすること前提で法人化を考える人はあまりいません。

 

突然亡くなった場合は株式の相続の問題が。

法人が永続して利益を上げれば、株価上昇の問題が。

 

将来にわたる面倒な諸問題は、法人設立のデメリットにはあまり触れられず、

対人間へも上手く説明できないもどかしさが。。。

 

会計事務所に勤務していると、家族経営の法人であっても、

この株式どうするの?といった問題や株価に遭遇する事もしばしば。

 

事業主の年齢が40歳後半から50歳を超え、ある程度の課税所得がある方に対しては、

必ず着眼しておかなければならない項目です。

 

気楽に廃業できない問題

個人であれば、ササッと廃業可能です。

僕も嫌になったら今日にでも廃業できます。

 

社長の体の問題、世の中の変化の問題、事業の状況の問題など、

廃業に陥る理由は必然や偶然に関わらず、突発的で様々。

 

個人であれば、廃業します!宣言は比較的容易。

しかし法人になると、債務超過ではすんなり清算ができません。

 

正常な法人であっても、清算処理に1クションも2クッションも入ったり。

期限切欠損金がありませんでした、なんて事も会社員の時には実際にあったり。

 

所得が一定ラインを超えた場合、法人格のメリットは確かですが、

その代わりフリーランスのように、身軽ではいられない事も。

 

個人業態とは異なり、素早い身動きがとれない部分がある事も、

法人化のデメリットの1つです。

 

法人設立は必ず納税者が電卓をはじく

法人化した方がいいかどうかの判断は、

専門家任せではなく、自分で税額をはじいてみるしかないと感じます。

 

税理士に相談すれば、大抵の場合、個人VS法人比較表を作成してくれます。

会社員の時にも、何度かお客さんから比較表を渡された記憶が。

 

問題なのは、納税者自身が、比較表作成に伴う数字の算出根拠や、

税額の算定方法を理解できていない事でした。

 

個人VS法人比較表はあくまでも、ある一時点の例示であり、

実際の業況化を比較して有利不利判定は、納税者自身で行わないと先は見越せません。

 

節税の為の不動産投資、箱物物件投資を考える人もいますが、

その後の処分方法まで踏み込んで考えたテキストが、なかなか存在しません。

 

今のご時世、明らかに身軽でいる事の方が、

後々を鑑みると、メリットが大きいことも多々あります。

 

個人からの法人化については、良い事が沢山描かれていますが、

将来のデメリットを見越せる事、自分で数字をはじく力、

まずはそこからがスタートだと感じます。

 

まとめ

法人化の問題はこれといった正解はありません。

 

あくまでも一般論と、ある一時点の例示をするに留まりますが、

最終的には、納税者の将来を見越す能力と、数字に対する学習意欲に依存すると感じます。

 

「あなたは社保節約のために、別法人を設立しないの?」

と言われてしまったのですが、僕は社保節約程の所得がない(ゼロ)がありません。

 

それが自分にとって、現時点ではメリットである事をなかなか口外できずにいます。

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