税理士事務所の事業承継について考える その2
前回に引き続き税理士として独立しない場合の選択の1つ。
税理士事務所の承継について考えられるデメリット2。
こちらも実際に友人に相談したことです。
前提としては、税理士事務所の事業承継について考える その1と同様です。
デメリット4 社員の雇用
顧問先がある程度ある場合、1人ですべての業務を行うのは物理的に無理です。
不可能ではないにしろ、少なくとも僕はそう思います。
社員を雇用する場合、支払う賃金が発生するのは当然です。
社員の生活の一部を担うのですから給与が払えないことがあったら責任重大です。
そして、社員が処理した仕事内容をすべてに目が行き届かないということが怖いとも思います。
1つの決算を組むのであれば、最初の仕訳入力から決算書、申告書の完成まですべて目を通し確認をするかどうか。
あまりそういう先生方はいないと思います。
社員が処理を行い、その中には税理士の目が行き届いていないところがあるという事は、往々にしてあると思います。
あとで聞いてない!職員がやったから自分は知らない。
こんな発言は僕は絶対にしたくないです。
しかし、これに関しては人により意見がわかれると思います。
事務所を拡大していくのであれば、これらは当然なのかもしれません。
一方、大きく拡大はできない若しくはそのような志向では無い為、すべて税理士本人が応対する、すべての処理を行うスタイルの先生方もいらっしゃいます。
デメリット5 仕事の仕方が変わらない
この業界に入り今年で9年になりますが、入った当初から疑問に感じたことがありました。
手書きの現金出納簿、手書きの預金出納簿、手書きの伝票、手書きの仕訳日記帳。
これらを使っていることです。
すべての顧客ではないにしろ、会計ソフトがあり総勘定元帳が自動で作成できる以上、手書き伝票は不要ですし、手書きの預金出納簿って通帳があればあとは資料があれば結構です。
会計業界1年目にそう思いましたが、そういう慣習というのが答えでした。
今でもそういう事務所が沢山あると思います。
さて、これらを変えていくことはできるのでしょうか。
デメリット3ではハードやソフトの問題をあげました。
それらをクリアして、自分が希望するソフトを使うとします。
仕訳の自動取り込みを使用したり、またすべてを自動化できないにしろ、所定の書式やエクセルのマクロに入力をしてもらい極力事務処理の時間を減らすことも可能だと思います。
しかしその場合、おそらく報酬の減額があるのだと思います。
また、古くからの顧客の場合、処理の仕方の変更を拒む方も多くいると思います。
結局従前と仕事の仕方は何ら変わらない恐れがあります。
旧態の方法から新しく変えてくということは、相当大変だと思います。
デメリット6 顧客側の世代交代
事業が継続していけば、必ずいつかは世代交代があります。
僕の友人で家業を継いだ人も数名います。
事業承継税制も使いやすくなるそうですから、継いでもらわないと困りますよね。
さて、世代交代が起きた場合、今まで通り顧問が継続するとは限りません。
特に情報収取能力があり、IT知識がある程度ある後継者の場合、新しいパートナーを探すかもしれません。
「元々不満があった。世代が変わったからもう義理はない。」
「自分の代になったのだから、自分が思うようにやってみたい。だから自分で税理士を探したい。」
上記のような考えは、当然のように感じます。
特に後者の場合は、僕も含めてこれから独立しようとしている税理士の方と考え方は一緒ですよね。
顧客側も世代交代をするのであれば、後継者が思うように事業を進めていくのは当然だと思います。
だからこそ、オレの代だから義理はないよと思われても、それもまた当然だと思います。
まとめ
以上が僕が友人に相談したデメリットです。
30年の税制改正では、事業承継税制が大きくクローズアップされています。
承継する側については、企業の内部では相当大変だと思います。
人の考え方や思いというのはスムーズにはいかないということが、某有名企業の争いから推測できます。
さて残り1つ、僕が感じる最大のデメリットがあります。
それは次回です。