所長の思いが詰まっている顧問先を引き継ぐことはしない。
会計事務所の事業承継のFAXが、
よく勤務先に入ります。
とてもシビアなFAXのため、ボスにはみせられませんが。
過去に何回か書きましたが、
親族以外が事務所を引き継ぐということは、とても困難だと感じます。
長所、短所をとらえても、無理だなーと。
しかし、周囲の人間からは、
「引き継ぐ方が現実的で、仕事の心配もない、最も理想的だよ」
と言われます。
実際、退職を伝えた時も、そういった打診を受けました。(真意かどうか不明ですが)
それらに関連する書籍やウェブサイトをみていると、
物騒な裁判やもめ事が多いようですね。
友人から、
「ありがたくいただけばいいのに。」
と軽々しくいわれましたが。。。
さて、今日は引き継ぐことをしない理由について書きます。
以下、「奪う」という表現を使用していますが、
お互い納得し、また顧客からの申し出により承継したりすることは、
含んでいませんので。
感謝しているから
最も強い理由は、ボスに対する感謝です。
会計事務所に限らず社員という身分である以上、
雇用される側には様々な不満はあるでしょう。
無い方がおかしいですよね。
社員全員が満足する職場なんて、存在しません。
たかだか11年のサラリーマン生活ですが、
誰かが快適に感じることは、誰かが不快に感じることくらいは知っています。
人それぞれ不満はありますが、会社から多くの恩恵を受けていることは事実。
僕も実際に、多くの貴重な経験をさせてもらっています。
今でも半人前ですが、何とか自分で考えてそれなりに対応できるようになったのは、
職場とボスの指導があったという事が大きく寄与しています。
思い切って自分なりに判断することができるのも、
ボスが確認してくれるからという、大きな甘えがあるからです。
仕事の完成形までには、不本意な過程もあるでしょうが、
最終責任はボスなので、今でも自分自身には甘えがあるんでしょうね。
落ち着いて考えると、雇用主には感謝をしなくてはいけないと感じます。
その思いがある以上、その方の顧問先をいただくという事は、
自分にはまずできないでしょう。
もちろん、お互い納得して「引き継ぐ」というのは、
「奪う」ということとは全く異なりますが、僕にはやはりできません。
「奪う」人の気持ちがわからない
会計事務所の承継あれこれを調べていると、物騒なもめ事があるんですね。
知らなかった自分が無知だったのでしょうか?
・社員(退職した税理士)が顧問先をもっていった
・社員が他の社員を引き抜いた
・社員が他の社員と顧問先を引き連れて退職した
実際あるんですね。
こういった人的な問題が、一番厄介なのかもしれません。
要するに、心移りの問題ですからね。
恋愛に例えるとわかり易いです。
大切だった人の心が、自分以外の第3者にすでに移った。
自分に対しては、もう心がない。
所長税理士の落胆は、計り知れないと思います。
実は以前、こういった揉め事に出くわしたことがあります。
当時はあまり深く考えませんでしたが。
実際に自分が今の立場になると、
「奪う」という事をする人の気持ちがわかりません。
僕が無知で鈍化なだけかもしれませんが、
絶対にいい方法であるはずかないと感じます。
「いやいやビジネスでしょ!何を甘ったれたことを!」
「食ってかなければならないんだよ」
という考えもあるでしょう。
人それぞれだと思います。
しかし、ビジスネであるからこそ、
お互い対当に納得して、事を進めるべきだと思います。
甘ったれなのかもしれませんが、
人の思いすべてを奪う権利などないと思います。
対価の支払い
いろんな事例を見ていると、引継ぎには対価を払うことがあるみたいです。
今後継続して顧客確保ができるので、当然という考えのようです。
個人的にそれは当然かどうかは、よくわかりません。
ただ、その対価にはいろいろ問題があるようですね。
・使用するOA機器の問題
・引き継ぐ社員の給与の問題
・事務所の家賃代の問題
これらすべてをひっくるめての対価がいくらだ!
と言われると、納得できないかもしれません。
引継ぎには多くの問題がある
僕のようなワンルームアパート、勤務税理士が引き継いだ場合、
以前こんな問題を考えました。
・使用するPCなどOA機器
・使用するソフト
・使用する事務設備
・事務所の場所
大手のライセンスは恐ろしく高額で、数年ごとに多額の更新が。。
(僕の年収くらい)
PCもOA機器も自分が使用したいものではありません。
事務机やイスも使いにくいものを使っています。
事務所もワンルームアパートで?
今の職場の状況は一切変えず、引き継ぐというのが最も現実的です。
しかし、僕はそれが嫌だなと思います。
理由はもう言うまでもありませんよね。
まとめ
「奪う」という選択は絶対に好ましいものではないと思います。
もしも転居せず独立したとしても、
「いただく」「引き継ぐ」
という選択はしないと思います。
ボスに感謝すべきという思いは変わらないからです。
長年の顧客に対して、多くの思いがあるでしょう。
それを「奪われた」人の心は、計り知れないです。
まあ、お前なんて引き継げないよと言われそうですがね。