数百円の還付でも笑顔になればいい。医療費控除=面倒はただの会計事務所の都合。

先日電車にボケーっと乗っていたら、堅いスーツ姿方々の会話が耳に。

「医療費控除なんて面倒で還付も少額。誤りも多いから廃止した方がいい。」

「とにかく面倒。」

 

その装いから何となく、税理士事務所関係者だとわかりました。

「医療費控除は面倒。」

僕もよくわかります。

なんせ、電卓苦手ですからね。集計だって面倒です。

 

そういえば、会社員だった時も、知り合いの若い税理士さんも、

面倒という理由で「医療費控除廃止すべき」という人は結構いました。

 

でもえっ!なんで!っていつも感じます。

だって「面倒だ!」なんて感覚は、会計事務所の勝手でしょ?

 

painted by Ryusuke Endo

医療費控除を正確に行う事は難しい

マイナンバー制度が今後どう普及していくかわかりませんが、

現状は医療費控除を最も正確に行うには、医療費の領収書の保管が一番です。

領収書を足しこんでいく原始的な方法が、最も手っ取り早いんですね。

 

でも非常に面倒な作業です。

医療費控除の対象かどうか、1枚1枚正確に判定していく事って、

実際には領収書だけでは無理なのですよね。

 

診療内容は納税者自身が把握しており、領収書を丸投げされた場合、

税理士は常識的にわかる範囲内で医療費控除に該当するか判断するしかありません。

 

明らかに不信に思う事や、不穏な空気の領収書は問い合わせますが、

1件1件何の治療ですかね?なんて聞きません。

 

これは歯科検診ですか?虫歯治療ですか?

ってか明らかに検診っぽいんだけど。。。

と聞いたら、怒られたこともありました。。。

だから新人の時、よく感じていました。

「この医療費控除って、本当に正しいの?」って。

 

10月から12月受診した診療で、高額医療費制度の対象となれば、

市からの還付金は翌年の1月以降。

医療費との相殺すべき部分が漏れやすい部分でもあります。

 

全て正確な医療費控除の計算って、僕も自身がありません。

自分の医療費控除ならまだしも、他人の1年間のストーリーなんてわかりませんから。

 

だから医療費控除を正確に行うって、非常に難しいですよね。

高額所得者ほど還付金が多い

今年の年明けに早々と、僕自身も医療費控除を実施。

医療費総額350,000円程だったので、所得税率5%の僕は、(所得少な!)

大体18,000円位が税務署から振り込まれました。

 

ええ、そうですよ!

これが所得税率10%の方なら35,000円、20%なら70,000円の還付ですから。

単純計算だと、高額所得者ほど医療費控除は得するじゃん!

って感じてしまいます。

 

担税力が高くなればなる程、還付金額も増加していきます。

 

低所得者は多額の医療費は支出できない。

高額所得者程、質のいい医療制度を受ける事が可能。

そして医療費が高額になれば、超過累進制度により沢山還付されます。

 

確かにその部分に限っては、制度上の不均衡があるのかもしれません。

例え少額でも幸せを感じればいい

医療費控除制度は、確かに正確な計算ができない問題点や、

制度上の不均衡といった問題点があります。

しかし、ただ単に計算が面倒だから廃止すべきと感じたことはありません。

 

納税者自身が医療費控除により還付申告をしても、

会計事務所が税務代理により申告しても、

領収書の集計の必要性が変わるわけではありません。

 

だとすれば、面倒だから廃止した方がいいという思いは、

会計事務所の勝手な思いに感じてしまいます。

 

医療費控除を計算して、還付金が1000円程度の方もいます。

僕も今年の2月に初めて無料相談に参加し、100枚近い領収書の集計に追われ、

結果還付金が1000円少々の方もいました。

 

でも1000円あれば、平日のランチ代くらいになります。

数百円であっても、コンビニでおやつくらいは買えるでしょう。

多少ですが、日常の支出の足しにはなります。

 

「あら?1000円。少ないねえ。」

という納税者は、どこかうれしそうで笑っていました。

いいじゃない。数百円でも。

それで少しでも幸せを感じる事ができるなら、僕は無料相談に参加してよかったと感じています。

 

医療費控除の領収書は、1年間のストーリーの1部をみる事が出来ます。

 

イチイチ領収書を保管していた方には、領収書の束にその1年の気持ちが詰まっています。

例え「還付金いくらかしら?」と思っている人でも、わざわざ領収書を持って、

確定申告の相談会場に来るのには、それなりの想いがあります。

 

イチイチ1枚1枚領収書に電卓入れて、結果たかだか数百円の還付金であっても、

それで多少の幸せや、生活の足しになるのであれば、

僕は医療費控除はいい制度です。

 

少なくとも、「面倒だ」という会計事務所の都合で議論することではない。

そして金額の多寡でもないはずです。

まとめ

マイナンバー制度がもっと普及して、医療費控除制度がスムーズになればいいと感じます。

翌年の3月末に高額医療還付金が振り込まれても、またお知らせが来ても、

確定申告には間に合いませんし。

 

僕自身もそうですが、多くの方が年末調整で完結する中、

わざわざ医療費控除の還付申告の為に、毎年確定申告するのって、素晴らしいと感じます。

 

まず領収書保管能力があるし、そして何より確定申告しよう!って自分の意思があるんですからね。

そういうのって、とっても大切な事です。

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