勤務税理士の苦悩20。何ゆえ銀行用の決算報告書を用意するのか?
先日6月の決算を終えました。
残り約7カ月間、僕が行う決算は残り少なくなります。
さて決算というと、お客さんに決算報告書を渡します。
僕は2件しか会計事務所勤務を経験していませんが、
2件とも決算書をめぐり、???と思う事がよくあります。
古くからの習慣なのかもしれませんが、
未だに解せません。
今日は決算書をめぐり、なかなか解せないことを書きます。
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鉄花村
融資の判断材料に必要な決算書
銀行員時代、決算が終わると必ず融資先から、
決算書を預かっていました。
保証協会を利用している先は、協会にもそれらが渡ります。
銀行員だって決算報告書をよく見ています。
もちろんいわゆる決算書だけではありません。
取り引き先に融資をしたい場合、稟議を書くため
決算報告書を読み解かなければならないでしょう。
事業概況や減価償却台帳、法人税申告書であっても、
稟議をあげる際の必須の材料です。
困難な融資であればあるほど、それらの材料は必須となってきます。
中小企業の場合、決算報告書を外部に出すというと、
まず思い浮かぶのが金融機関でしょう。
しかし、会計事務所に入り、不思議に思うことがありました。
銀行用の決算書を用意するとは
「銀行へ渡す決算書報告書を用意してほしい」
初めて聞いたとき、
「えっ?この間一式わたしたじゃん!」
と言ってしまいました。
どうやら古くからの習慣で、会社控えと決算報告書と同様のものを
銀行コピー用として渡しているんですね。
親切心なのでしょう。
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異議あり
しかし、これには異議ありです。
同じものとはいえ、会社用と銀行用とで決算報告書を区別する
必要性がわかりません。
何か銀行に見られたくないものでもあるのでは?
と勘ぐれらても反論できません。
悪い習慣だと思います。
決算報告書は1つであるべきです。
それには銀行員時代に決算書を預かる際、
よく言われたことがあります。
決算報告書はすべて一式銀行へ渡す
僕が銀行員として法人へ伺った時、
決算書を預かる事が多々ありました。
もちろんこの時に、コピーを預かるなんぞもっての外です。
そんなことしたら、銀行員失格でしょう。
お客さんから、
「これコピー用の報告書だけど、これでいい?」
と聞かれたことがあります。
それは要するに、銀行用の決算報告書でした。
「いやいや、いいわけないでしょ!」 ←(新人だったので、多分試されたんですね。)
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台東 鉄花村 夜
支店長からはこんな事を言われたことがあります。
「必ず決算書の原本を預かること!」
なので、決算書を預かる際はよく注意していたことを覚えています。
また、
「法人事業概況書や、固定資産台帳は要らないでしょ?」
と言われたこともあります。
でもそれらが重要だったりするんですね。
決算報告書は会社にとってプライベートなものです。
しかし、それを利用する銀行にとっては、
包み隠さず提供してもらわなくては、正確な情報が把握できません。
銀行のコピー用を用意するというのは、下手な親切です。
会社控えをそのままそっくり渡す方が、
よっぽど親切です。
まとめ
粉飾などの反社会的な目的はもちろん無いにしても、
決算報告書を2つ作り、一方を銀行に渡すというのはよくありません。
会計事務所は報告書を作る側ですが、銀行はそれを利用する側です。
それは嘘偽りがない事が前提となっています。
みすみす不信に思われる事をするのも、
バカバカしく思います。
古い習慣かもしれませんが、
なくなるべき習慣だと思います。