簿記苦手の克服法。「決まってんだろ!ハートだよ!」
GWの間、HP作成とアルバイトの合間をみつつ、
大企業に勤務する彼女に、自宅で簿記を教えていました。
ええ、簿記が苦手な僕が無償で。マンツーマンで。
今更、簿記検定受けるんだってさ!
そして思い出しました。
僕は簿記が本当に嫌いでした。
会計事務所に転職して間もない時、同業者の集まりで何気なく、
「簿記に必要なものって何ですか?」と、
初対面の人に聞いてしまいました。
そしたら衝撃の回答が、
「決まってんだろ!ハートだろ!」
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sincerely
簿記が嫌いだった理由
税理士試験を目指したポピュラーな理由として、
「簿記が楽しかった!簿記に興味をもった。」
という声をよく聞きます。
1科目に「簿記論」を受験する人が大多数なので、
そもそも簿記が嫌いであれば、その選択をする事はないのかもしれません。
しかし僕はプロフィールにもあるように、
税理士試験は国税徴収法から入りました。
そしてしばらくして、簿記が苦手である事が発覚。
苦手な理由は様々ですよ。
僕はこんな風に思っていました。
・仕訳や科目がよくわからない
・振替伝票(複合仕訳)がよくわからない
・集計が苦手
・電卓がうまく叩けない
・先入先出とか後入先出とかそういうヤヤコシイのが嫌い
・右と左が一致しない
・なぜ右と左が一致しなくてはいけないの?
税理士の人からすると、有り得ない疑問かもしれませんが、
僕はそういう貧弱な人間でした。
でも苦手だった最も大きな理由は、根本的な問題なんですが、
負債と収入の発生は貸方!
資産と費用の発生は借方!
とされるルールになぜ?って思う事でした。
要するに、貸借や損益の決められたルールそのものが嫌いでした。
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Immutable rules
仕訳はただの取引ではない
新人の時、こんな仕訳をソフトに入力した事がありました。
・毎月月末に翌月分の家賃1,000円を支払うが、今月は払わなかった。
前払費用 1,000 / 未払費用 1,000
・売上代金1,000円が返品された。
現金 ▲1,000 / 売上 ▲1,000
何となく気持ちをわかってもらえると思います。
当然、「なにこれ?」と先輩からは突き返されます。
しかし、何となくダメな理由がはっきりしません。
語学でも、法令でも、絶対的なルールに従う必要があります。
そのルールが自分の中でピタッとくれば、きっと拒絶反応はないでしょう。
ただ、僕はどうもしっくりきませんでした。
ルールを覚えなくてはいけないけど、自分の中でしっくりこない。
そしてぜんぜん面白くない。
だからどんどん簿記が嫌いになっていきます。
その当時、僕は仕訳1つについて、単なる1つの取引としか思っていませんでした。
「売り上げがあって、現金をもらって。」
でも、そんな取引を1つ1つ起こしていても、何にも楽しくありません。
一生懸命ソフトが集計してくれて、試算表が完成しても、
自動化された、単なるの取引の集まりに何の面白さを感じませんでした。
そんな時に、
「会計仕訳1つは心であり、処理した人のハートがあるんだ!」
「ハートで勝負しろ!」
と暑苦しい助言を受けました。
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heartily
会計処理にもカラーが表れる
会計仕訳はただの取引の記録ではありません。
仕訳1つにも相手の想いや心があり、選んだ科目にも理由があります。
大袈裟かもしれませんが、経理を行っている人にとっては、
仕訳1つ1つを思いを込めて起こしています。
敢えて言うのであれば、仕訳は1つの作品です。
僕には簿記嫌いを克服する前に、仕訳を読み取るハートが欠けていたのです。
それ以降、簿記を「1つのルール」という範疇から「1つの作品の集合体」
と思うようにしました。
そしてそのうちに、それが簿記の面白さになりました。
(正確には経理といった方がいいかもしれませんが。。。)
会計処理をする人によって、仕訳は配色が異なるのです。
経理をする人が複数いる場合は、確実にその人のカラーが異なります。
・オシャレな仕訳を起こす人(繰延ヘッジ損益)
・ザックリ仕訳が好きな人(雑費)
・堅苦しいのが好きな人(過年度償却債権益) ← 雑収入でいいじゃん
・僕のように、不思議な仕訳を起こす人
また、摘要1つとっても人によってどこまで記載するかは異なります。
どんな思いを込めて取引を起こしたのか?
そう思うと、だんだん、会計仕訳に現れる人柄が楽しくなっていきます。
そしてそれぞれのカラーが混ざり合い、グラデーションとなった時、
美しいカラーの試算表が出来上がります。
自分が仕訳を起こす時も、思いを込めて起こすように変化していきました。
最後に会計事務所が仕上げの配色をすると考えると、
だんだん仕事の楽しさも増していきました。
手書き元帳はハートで読み取る
今は殆どお目にかかることはできませんが、
未だに手書きで帳簿付をされている人もいます。
僕が勤務していた2件の事務所でも、まだ手書き帳簿の先がありました。
時代遅れ。。。
非効率的。。。。
と感じる人が大多数だと感じます。
きっとそれが正解なんだと思います。
ただ、僕はあまり絶対的に効率化!!というこだわりがありません。
効率化=正解がではなく、ベターなだけであり、人それぞれがやりやすい方法こそ正解なはずです。
手書きの帳簿は人の想いが詰まっています。
手紙を手書きで書くの同様です。
内容的には会計ソフト入力とそれほど差異はありませんが、
1筆1筆に込めるハートが違います。
帳簿作成は毎日、若しくは定期的に作成しているので、
記載される文字は統一されていません。
会計ソフトを利用した仕訳取引よりも、
簡素な手書き帳簿の方が、よっぽど難解です。
おそらくそれは、手書帳簿というものはハートで読み解く他ないからです。
ハートで読み解く訓練をしていないと、その裏にある状況を推測できません。
会計事務所に転職したばかりの頃でしたが、
「ハートで感じろ!」
という助言を受けて以降、自然に簿記が苦手という意識が薄らいでいきました。
簿記苦手克服には、ハートです。
ハートで仕訳を読み取りましょう。
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awareness of time
まとめ
僕は会計仕訳1つでも、相手の作品だと捉えています。
何かしらの思いがそこにあるからです。
仕訳をチェックして、
「これは違うぞ!直そう。」
と思ってしまいがちですが、それが相手の作品である以上、
むやみに改ざんするのも気が引けます。
まあそんなこと考えていたら、仕事なんて進みませんが、
こんな時代だからこそ、僕はハートを大切にしたいと改めて感じます。
【今日の言葉】
sincerely:心から
心からありがとうは、sincerely thanks